本屋大賞2025受賞作1位「カフネ」を読んでみて感じたこと

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2025年本屋大賞『カフネ』を読んでみた。
みのり

こんにちは!みのりです

本屋大賞2025年受賞作品が先日発表されましたね。

引きこもり主婦になり、読書の時間が増えた私も早速Amazonで注文して読んでみました。

引きこもり主婦は、読みたい本もネットで注文します(笑)

今回のブログでは、数ある本の中から1位に選ばれた「カフネ」を読んでみて感じたことを綴っていきたいと思います。

目次

本屋大賞とは!?

本屋大賞とは、

全国の書店員さんが、過去1年間の間に読んで「面白かった」「お客様にも読んでほしい」と感じた「いま一番売りたい本」を投票によって選ぶ賞です。

私達と同じく、一般の読者目線で選んでいるので、身近に感じ、手に取りやすいです。

ちなみに、2025年の受賞作品はこちらです。

順位タイトル作者名
大賞 581.5点カフネ阿部 暁子
2位 353点アルプス席の母早見 和真
3位 345点小説野崎 まど
4位 323点禁忌の子山口 未桜
5位 234.5点人魚が逃げた青山 美智子
6位 228点spring筑摩 書房
7位 223点恋とか愛とかやさしさなら一穂 ミチ
8位 219点生殖記朝井 リョウ
9位 196.5点死んだ山田と教室金子 玲介
10位 163点成瀬は信じた道をいく宮島 未奈

このように、『カフネ』は、2位の『アルプス席の母』に大差をつけて、大賞を勝ち取ったのが分かりますよね!

多くの作品から選ばれた本屋大賞受賞作品は、ベストセラーになることも多いそうですよ。

『カフネ』のあらすじ

一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。

最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。
実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。

食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。

引用:講談社

『カフネ』を読んで感じたこと

『カフネ』とは、ポルトガル語で『愛する人の髪にそっと指を通す仕草のこと』を意味するそうです。

ページをめくるたびに、共感できるところがたくさんあり胸が熱くなった時、カフネは、そっと私の心の隙間には入ってくれて、救ってくれました。

『食』は人と人を繋ぐ無償の愛

帯紙に書かれていた『人生のお守りになる食が繋ぐ愛の物語』という言葉が私の心を惹きつけたのです。

人は、辛い時、どうしても『食』がいい加減になってしまう。その延長線で生活も性格までも……

その辛い状況から抜け出させてくれるのは、『食』ということ。

せつながたくさんの家庭を訪問して、温かいおいしそうな料理を作るシーン。

私の脳裏には、美味しそうに食べている子供や大人の姿が目に浮かびました。

それと同時に思い出したのは、私の『忘れられない食』の場面。

お母さんが作ってくれた貝の天ぷら。おじいさんが作ってくれた、醤油たっぷりの卵かけご飯。

おばあさんが作ってくれた甘いカシワ入りのカレーライス。ちらし寿司。

友達が作ってくれた甘い卵焼き。

大好きな家族や友人との思い出は、いつも『食』が原点だということに気がついたのです。

まさに、それこそが『食が繋ぐ愛の物語』なんですよね。

家族や友人が辛い時、言葉よりもそっと温かいご飯を差し出してあげるのが、『無償の愛』なのかもしれません。

自分自身の心と体を守ることが、子供をも守ることに繋がる

双子のワンオペ育児をしている家庭に、カフネの社長斗季子とせつなと薫子が伺うシーン。

同じく、双子をワンオペで育てた斗季子が、助け舟を出すようにこう言います。

『まずは、あなたの体と心を守ることが、お子さんを守ることにつながります。』

この言葉は、まるで私にも言われているかのような、そんな衝撃を受けました。

私も、双子を育てて14年になります。

最重度の知的障害ありの自閉症の息子。育児に終わりが見えない毎日。

斗季子の言うように来月や再来月に終わる話じゃない。ずっと続くこと。

だけど、この家庭の小笠原さんと同じように、旦那さんは仕事をしているという理由で育児を手伝ってもらえず、1人でどうにかしなければいけない。

障がい児を育ててる家庭が利用できる居宅介護を利用したくても、旦那さんやお義母さんがいい顔をしなくて使えない。

ここ最近の私は、本当にいっぱいいっぱいになっていました。

自分自身より、子供を優先に!

『私は、母親だからしっかりしなきゃ!』という思いが、どんどん自分自身を追いつめていました。

そんな私に、誰かに助けを求めることは、決して恥ずかしいことではない!そう気づかせてくれたのです。

人間は自分以外の人間のことは何ひとつわかるわけない

せつなが言った『人間は自分以外の人間のことは何ひとつわかるわけない。わかったような気がしてもそれはただの思い込みだ』

本当にその通りですよね。

家族だって、どんなに親しい友人であっても、子供でも、恋人でも、その人の本当の気持ちをわかることなんてできない。

障がい児育児を14年間経験して、がんに罹患して、強く感じたことです。

どれだけ私が不安か、毎日どんな気持ちで生きているか、家族でさえ本当の私の気持ちに気づいてくれませんでした。

『大丈夫よ!』その言葉一つで片付けられ、私は、どんどん孤独になっていったのです。

だからこの言葉に出会った時、この気持ちは私だけではなかったんだと、どこかほっとしたのです。

信頼関係を築くには努力と時間が必要だが、壊すのは本当に簡単で一瞬だ。

薫子の言ったこの言葉に、私は激しく同調した。

何でも言える友人。お互いが困った時、辛い時は側にいて気持ちに寄り添いたい友人。

長年、友人関係を続けてきて、信頼関係を築いてきたと思っていました。

しかし、それは私の思い込みだったということが、がんに罹患した時にハッキリと分かったのです。

そして、友人との関係は本当に簡単に一瞬で壊れました。

そして、そのショックから、ついには『人間関係の断捨離』を始めたのです。

『カフネ』との共通点

カフネを読んで、驚いたのは、まるで私の人生をモデルに描かれているのではないか!?と思うほど共通点がたくさんあったことです。

愛するひとの突然死

薫子の最愛の弟、春彦が急死してしまい、突然死なのか!?自死なのか!?
遺言書を書いてたこともあり、薫子は追い詰められていくのですが、私も似たような経験があるのです。

高校生の時に、大事な大事な友人が突然死で亡くなってしまったのです。

『月曜日にまたね!』と学校で別れた友人は、春彦と同じようにベッドの上で亡くなっていたのです。

娘が意識が無くなっているのに、驚いたお父さんが動転して救急車ではなく警察を呼んでしまったことで、自死ではないかという噂が広まりました。

死因もわからない突然死だったため、その噂は、どんどん本当のことかのように広まっていき、私たち友人も追い詰められていったのです。

大切な人が、急に亡くなった時の気持ちは、言葉にできないぐらいショックで、なかなか立ち直ることはできません。

薫子の気持ちが痛いほどわかり、最初から薫子になった気持ちでページをめくっていました。

闘病中

春彦の元恋人せつなは、慢性骨髄性白血病の闘病中ですが、皆の前では普通に振る舞い仕事をしています。

私は、仕事はしていませんが、体調が悪い時でも、皆の前では普通に接するようにしていました。

せつなと同じように、同情をしてほしくないという気持ちが強かったのかもしれません。

遺言書

薫子の弟の春彦は、遺言書を書いていました。

実は、私も双子を出産する前と今回がんに罹患したことが分かった時に遺言書を書いているのです。

これは、今でも家族の誰も知りません。

双子を出産する時、とても危険な状態だったため私の命も保証できないと医師から言われていました。

もしもの時が会った時は、子供の命を優先してほしいとお願いしていましたが、私が亡くなった後のことが色々と不安だったため、遺言書に意向を書いていたのです。

そして今回、がんに罹患した時も、子供達への思いを綴っています。

40代で遺言書なんて、笑われるかもしれませんが大事な子供達のために、私の気持ちを残しておきたかったのです。

春彦は、どういう思いで遺言書を書いたのかなと思うと涙が止まりませんでした。

双子育児のワンオペ

家事代行で伺った小笠原さんは、双子をワンオペ育児をしているのですが、その大変さが現在の自分と重なり胸が苦しくなりました。

そして、それを手伝いたい、助けたいと思った同じく双子のワンオペ育児をしたカフスの社長斗季子の気持ちも痛いほど分かったのです。

赤ちゃん2人を同時に育てるということは本当に大変で、母親は寝る暇もありません。

小笠原さんのように『この子達を産まなきゃよかった!』1度は、誰しもそう思ってしまうのです。

そして自分は最低な母親だと責めてしまう。

私は、小笠原さんをギュッと抱きしめて、みんな同じだからね!そう声をかけてあげたくなりました。

おわりに

『カフネ』を最後まで読み、本をそっと閉じた後、しばらくは何も手につきませんでした。

不妊、離婚、最愛の弟の急死に苦しむ薫子。急性骨髄性白血病と闘いながらも、家事代行の仕事で『食』で人々の心を支えているせつな。

血も繋がっていない性格も違う2人が、お互いを支え合い生きていく。

人は1人では生きれない。誰かに助けられ、また誰かを助け支え合いながら生きていく。

今回、薫子とせつなが私に教えてくれたことです。

そして、『食』は生きていくことにはとても大事で、人々を笑顔にするということも、せつなが毎回作る美味しそうな料理が教えてくれました。

その中でも、青森の郷土料理「卵味噌」は、とても魅力的で食べたこともないのに、どこか懐かしく心を温かくしてくれたのです。

立ち上がれないほどの出来事があったとき「食」や、人が人を思う「思いやり」「助け合い」で人は再生することができる。

今、人生のどん底にいる私に、『カフネ』は、そう気づかせてくれました。

その想いを今度は私が引き継ぐように、今このブログを読んで下さっている方に伝えたい。

「一緒に生きよう」と……

みのり

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